皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「トゥーイッラ家が皇家の血筋なのは知っているだろう。今、内々にグリナダ王国から王太后の娘、ユリハ王女と俺との縁談話が持ち上がっている」


唐突に変わったスケールの大きな話に瞬きを繰り返す。

隣国とは千年近く前、兄弟王子の国の在り方の違いで二国にわかれたが、約五百年前、セレスタ帝国の皇子とグリナダ王国の姫君が結婚し国交が回復したと言われている。

以来、皇族直系同士でなくとも近い家系での婚姻を、同盟国の強い証として繰り返している。


「俺の実母は俺が七歳のときに亡くなり、グリナダ王国のミラヴ侯爵家から義母が嫁いできた。義母は王太后とは親戚関係にある。だが、義母と父との間に子は授かっていない。そのため、縁談がもちかけられた」


つまりトゥーイッラ魔術騎士団長の義母が万が一亡くなれば、グリナダ王国とのつながりが薄れる。

同盟国としての強いつながりを維持するために、新たな血縁者を嫁がせたいという目論みだろう。


「だが、現状グリナダ王国の王族に連なる人間をふたりも迎え入れるのは喜ばしくなく、反対意見も多く対立の火種になる可能性が高い。そのため断るのは決まっていたが、確たる理由がなかった」


事務的に告げられ、合点がいった。

トゥーイッラ魔術騎士団長にメリハ族の運命の伴侶がいるとなれば、さすがの隣国も反対できない。
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