皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
私から視線を外したトゥーイッラ魔術騎士団長が、ソファから腰を上げる。

慌てて私も立ち上がった。


「皇帝陛下、ミクス殿下、関係各所に報告後、戻ってくる。今後について決める必要もあるので少し待っていてくれ」


「わかりました、お待ちしております」


さらに、用事があれば部屋の前にいる護衛騎士に伝え、部屋からは出ないよう言われた。

扉へと歩く広い背中をぼんやり見つめていたとき、ふいに彼が振り返った。


「……君は、俺が守る」


紫の目で真っ直ぐ私を射貫き、放たれたひと言に目を見張る。

返答できずにいる私を残したまま、彼は扉の外に出て行く。

扉が閉じた途端、力が抜けてソファに再び座り込んだ。


落ち着いて、きっと自身の義務を果たす宣言をされただけ。


他意はない。


私は私の務めと責任を果たせ、そういう意味だろう。

甘えてはいけない。

自身の事情があったとはいえ、運命の伴侶だったせいで彼が自由に結婚相手を選ぶ権利が失われたのだから。

私たちは一般的な夫婦関係にはほど遠い。

ひとりきりになったせいかさらに重くのしかかる不安を抱えたまま、時間だけが過ぎていった。
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