皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
薬草畑に近い、日当たりの良い東屋で、私の専属侍女のメアリが淹れてくれたお茶を飲む。

新しく仕入れた紅茶の香りはとても優しく、心が落ち着く。

公爵邸に移る際、気心の知れた信頼できる人間が必要だと、アン義母が自身の専属侍女かつ侍女頭の娘、メアリを紹介してくれた。

皇都に来てからは身の回りの事柄は母とふたりでこなしてきたため、誰かにしてもらう生活は正直まだ慣れない。


「頼まれていた紅茶缶はこれでどう? 必要量を適宜送るつもりだけど……いつ話すつもり?」


尋ねながらアン義母がテーブルの上に四角い紅茶の缶を置く。


「ありがとうございます……トゥーイッラ魔術騎士団長には折りを見て打ち明けるつもりです」


彼の姿を思い浮かべながら答え、缶の蓋を開けた。

中には茶葉の代わりに薄紙に包まれた飴のような丸薬が入っている。

これはすべて母が私に遺してくれた薬だった。

メリハ族の血を引く者は一般的な薬があまり効かず、直系は特にその傾向が強い。

そもそも治癒の力は自身には使用できない。

効果があるのはウキヌの森に生育する薬草から作られた薬、もしくは血縁者か運命の伴侶の魔力がこめられたものに限られている。

だがこういった命に関わる情報は治癒の力の悪用を避けるため、秘密裏に受け継がれてきた。

そのため亡き父は、母と私を守るためウキヌの森近くに居住を移したのだ。
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