皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
一瞬の沈黙の後、小さく返答する。

すると私への用は終わったとばかりに視線をずらし、ギルハンに今日の予定などを確認していた。

彼の真向かいの席に腰を下ろした私は、昨夜のようにヴェールを取って食事をするのが咎められそうな気がして、ヴェールの裾を握りしめ逡巡する。

寝不足もあり食欲はわかず、結局ヴェールを少しずらして紅茶を口にする。

その瞬間彼が少しだけ眉間に皺を寄せ、緊張で胃が縮こまる。

温かな料理とは対照的に、冷えた重苦しい空気に狼狽えていたのは私だけではないようで、給仕してくれていた侍女が指を紅茶用のお湯でやけどした様子だった。

声をかけようとした途端、彼が目配せをして、ケティがすぐにその侍女を退出させた。

その後すぐ彼は立ち上がった。


「私はもう行く、君はゆっくり食事をするように」


「あ、あの、トゥーイッラ魔術騎士団長」


咄嗟にかけた声に彼が動きを止める。


「これから君は私の伴侶になる。呼び方を改めるように」


少々不機嫌そうな様相で注意される。


「申し訳ございません……では、どのようにお呼びすれば……だ、旦那様でしょうか」


尋ねれば彼の眉間の皺が深く、眼差しが鋭くなる。

今後を考えての一般的な提案は不快だったようだ。

私を近い将来、妻と認めるような呼び名はやはり嬉しくないのだろう。
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