皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
胸がギュッと締めつけられ鼓動がやけに大きく耳に響く。
無意識に立ち止まった私に階段を下りかけていた彼が気づく。
「ここでなにを?」
「あ……その、お見送りを」
渇いた喉から掠れた声を絞り出す。
先ほどの柔らかな表情は消え、渋面が浮かんでいる。
「食事を続けるよう言ったはずだ。君にそんな振る舞いは望んでいない。今後一切不要だ」
突き放すような発言と鋭い眼差しに身がすくむ。
「かしこ、まりました。出過ぎた真似をいたしまして申し訳ございません」
軋む胸の痛みを押さえつけ、声を絞り出して頭を下げた。
ギルハンがなにか彼に進言していたようだが、気にする余裕がなかった。
遠ざかる足音を、重い心と冷たくなった指先を握りしめて聞いていた。
下を向いているせいでヴェールの裾からはみ出した銀の毛先をぼんやり見つめる。
……間違いなく嫌われている。
そろそろと顔を上げて、扉を出て行くふたりの姿をそっと見つめる。
細身ながら引き締まった長身と艶やかな黒髪は、後ろ姿だけでも見惚れそうになる。
容姿も才覚も身分も抜群の彼ならどんな令嬢との結婚も望めたはずなのに、国と体質のため意に沿わぬ婚姻を押しつけられ、どんなに不愉快だろう。
無意識に立ち止まった私に階段を下りかけていた彼が気づく。
「ここでなにを?」
「あ……その、お見送りを」
渇いた喉から掠れた声を絞り出す。
先ほどの柔らかな表情は消え、渋面が浮かんでいる。
「食事を続けるよう言ったはずだ。君にそんな振る舞いは望んでいない。今後一切不要だ」
突き放すような発言と鋭い眼差しに身がすくむ。
「かしこ、まりました。出過ぎた真似をいたしまして申し訳ございません」
軋む胸の痛みを押さえつけ、声を絞り出して頭を下げた。
ギルハンがなにか彼に進言していたようだが、気にする余裕がなかった。
遠ざかる足音を、重い心と冷たくなった指先を握りしめて聞いていた。
下を向いているせいでヴェールの裾からはみ出した銀の毛先をぼんやり見つめる。
……間違いなく嫌われている。
そろそろと顔を上げて、扉を出て行くふたりの姿をそっと見つめる。
細身ながら引き締まった長身と艶やかな黒髪は、後ろ姿だけでも見惚れそうになる。
容姿も才覚も身分も抜群の彼ならどんな令嬢との結婚も望めたはずなのに、国と体質のため意に沿わぬ婚姻を押しつけられ、どんなに不愉快だろう。