皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
なにをすれば喜んでもらえるのだろう。

少しでも受け入れてもらえるだろうか。

心細さと不安に負けそうな心を懸命に鼓舞する。

滲みそうになる視界を瞬きを繰り返して誤魔化し、心配そうに背後から見守るメアリに、口角を上げて食事に戻ると伝え、用事を頼んだ。

侍女たちは、なにも言わず私を迎え入れてくれた。

中座をケティに詫びたところ恐縮された。

心が重いせいか進まない食事をなんとか終えた際、メアリが戻ってきた。


「先ほどやけどしていた女性に、これを渡してもらえない?」


部屋から退出する際に、ケティにメアリに自室から持ってきてもらった小さな入れ物を手渡す。


「お嬢様、こちらは?」


「私が調合した塗り薬なの、やけどや切り傷によく効くから……よかったら。巻き込んでごめんなさいと伝えてもらえたら」


「まあ、そんな……気になさる必要はございません。いただいてよろしいのですか?」


ケティは私が薬師だと知っているので怪しみもせず受け取り、侍女に渡すと口にした。


「ええ、もし肌に合わないようなら使用をやめてね」


さらに使い方などを説明し、部屋を出た。

その後、侍女のやけどはとてもよくなったとケティから報告され、侍女からも礼を言われた。

彼に挨拶などは不要と言われていたので、せめて朝食時だけでも顔を合わせ挨拶するよう心がけていたが、自分に合わせて生活する必要はないとギルハンを通して言われた。

歩み寄りさえも拒絶され、ため息が漏れた。
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