皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「お嬢様、まずはギルハン様かボルト様に確認すべきでは? そもそも屋敷内におられるかもわかりませんし」


「さっきギルハンが、帰宅されたアレン様から預かりましたって言っていたからきっといらっしゃるはずよ。お伺いを立てたら断わられるかもしれないし、お礼を直接伝えたいの。執務室に御不在ならあきらめるし、すぐ退出するから」


懸念を伝えるメアリに早口で答えて先を急ぐ。

夕食を終えた遅めの時間帯のせいもあり、屋敷内は静寂に包まれていた。

たどり着いた執務室は少し扉が開いており、光が漏れていた。

少しの緊張と期待を抱えて扉の数歩手前に足を進めた際、ギルハンの声が響いた。


「キラナ様は腕輪を大変喜ばれており、お礼を言付かりました」


「そうか……包帯や服やリボンよりましだろう。極力外さないよう伝えたか?」


どこか苦々しげな声に思わず腕輪を右手で押さえた。

ドクドクと鼓動が一気に速いリズムを刻む。

普段の私は彼の指摘どおりのもので痣を覆っている。

以前に彼に結んでもらったリボンは、洗ってすでに返却していた。

そういえば最近はなぜか痣が痛まなくなっている。
< 85 / 152 >

この作品をシェア

pagetop