皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
四大公爵家の後継者たちは全員年齢が近い。

幼い頃からともに過ごす機会も多く、立場なども似ているため付き合いは深いらしい。

その中でもとりわけアレン様とイスズ様は気が合い、舞踏会などの公式な行事はよくエスコートを引受けていたらしい。

正式な発表こそないがふたりの中を両家の親たちも否定せず、いわば内々の婚約関係として扱われていたらしい。

魔獣討伐が最優先される事態が落ち着いた頃に婚姻されるのではと噂されていたという。

そんな中、グリナダ王女の輿入れ話などが本格的に浮上し、ふたりの仲はどうなるのだろうと皆が注視していたそうだ。


「……アレン様はイスズ様を大切に想っておられたのでしょうね。きっとイスズ様も」


彼から直接イスズ様について聞いた記憶はないし、教えてもくれないだろう。

以前目にした、イスズ様について話す際の彼の優しい表情や物言いからどれだけ気を許し、大切に想われているかよくわかる。

グリナダ王国との縁談が破談になったのは喜ばしくとも、こんな将来は望んでいなかっただろう。


「嫌われて、当然ね」


今にも泣き出しそうな目をしたメアリを安心させるべく口角を上げる。


「せめてご不興を買わないように……まだ正式に婚姻していないし、おふたりがお話されるのを邪魔しないようにしなくてはね」


自嘲気味に話しながらゆっくり歩く。

小さめの森とも言えそうな広さの庭園の端までたどり着き、塀のすぐ傍の木の幹に触れた。
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