皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「どうなっている? なんでこんなに憔悴しているのに放置していた。なぜ報告しなかった!」


慌てて部屋にやってきたメアリに、アレン様が厳しい口調で問いただす。

イラ立ち、怒りのせいか魔力が多量に漏れ出すのを感じ、彼の手に触れて声を絞り出す。


「違います、メアリはずっと心配して……アレン様に報告すると何度も言っていましたが……私が引きとめたのです」


「どうして……いや、事情はメアリから聞く。応急処置として俺の魔力を少し注ぐ」


彼が私の額に再び大きな手を伸ばす。

触れるのを躊躇わない指先と、ヴェール越しではない彼の気遣わしげな眼差しを見た後、ホッとして力が抜け、目を閉じた。

 
穏やかで優しい香りに包まれ、重い瞼を開く。

目元に落ちてきた髪が気になって、動かそうとした指が温かな温もりに包まれているのに気づく。


「え……」


視線を動かせば、私の手を握りしめたままベッドサイドの椅子にもたれて目を閉じているアレン様がいた。

衝撃の光景に狼狽えながら、眠る前の出来事を思い出して、半身を起こす。

ありえない失態と状況に緊張と動揺し、鼓動が一気に速くなる。

ずっと手を握り傍にいてくれた姿に胸が詰まり、体が熱を持つ。
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