ラビット・ボンド
店を追い出された私たちは、フラフラと海に向かって砂浜を歩いていた。前を歩く私に、1メートルくらい間隔をあけてトラオがついてきてる。
ビーチサンダルにまとわりつく砂が心地悪くて、リゾートに来てるんだと実感する。
あんなに賑わってたのに、海辺は通りすがりが数人いるだけで静かだった。
併設されてる宿に泊まってるんだから、解散してそのまま部屋に帰るのが正しい。そもそもそれがいいと思ってあの店で飲み始めたんだし。
でも、私は部屋に帰らなかった。
なぜなら――。
「ぜんぜん飲み足りな~い」
もっと酒をくれ。もっともっと酔っぱらいたい。
私の悪い癖だ。分かってる。分かってるけど酔うとどうしてもこうなってしまう。
「トラオ明日早い!? てかなんでここにいるんだっけ!? 仕事!?」
振り返って、トラオに聞く。街灯が少し届いてる程度で、うすぼんやりとしか見えなかった。
「うん、仕事。……もう終わったけど」
「まだイケるってこと!? よし飲もう!」
そんなことを言いつつ、この辺に遅くまでやってる店があるのか全く知らない。見当すらつかないまま、言葉だけが先走る。
「じゃあさ――」
時間でも確認したのか、トラオの顔がスマホの明かりで一瞬だけ照らされた。
「俺の部屋くる? こっから近いし、売店もまだ開いてる」
「え、行く」
「ふはっ。くるのかよ」
即答する私にトラオが笑う。自分から誘ったくせに、ひどい男だ。
こっち、と方向転換するトラオについていく。今度は私が後ろを歩く番。
「ね、ちょっと待って!」
数歩歩いたところで、私は足を止めた。
一つだけ、確認しなきゃいけないことがある。
ナンパっちゃナンパだったけど、そういうつもりで部屋に誘ったんじゃないことは分かる。なんとなく、カンで。
だとしても、聞いておかないと進めない。もしそうなら部屋に行くのもナシだから。
でもでも、聞くのは信念に反してしまう。
「リカちゃん?」
トラオの声に、信念を曲げる決心をする。
ごめんなさい。どこぞの神様に心の中で懺悔する。
「念のため、一応、聞いておきたいんだけど……」
不思議そうに近寄ってくるトラオに、思い切って問いかけた。
「み、美月ちゃんと付き合ってないんだよね……?」
ビーチサンダルにまとわりつく砂が心地悪くて、リゾートに来てるんだと実感する。
あんなに賑わってたのに、海辺は通りすがりが数人いるだけで静かだった。
併設されてる宿に泊まってるんだから、解散してそのまま部屋に帰るのが正しい。そもそもそれがいいと思ってあの店で飲み始めたんだし。
でも、私は部屋に帰らなかった。
なぜなら――。
「ぜんぜん飲み足りな~い」
もっと酒をくれ。もっともっと酔っぱらいたい。
私の悪い癖だ。分かってる。分かってるけど酔うとどうしてもこうなってしまう。
「トラオ明日早い!? てかなんでここにいるんだっけ!? 仕事!?」
振り返って、トラオに聞く。街灯が少し届いてる程度で、うすぼんやりとしか見えなかった。
「うん、仕事。……もう終わったけど」
「まだイケるってこと!? よし飲もう!」
そんなことを言いつつ、この辺に遅くまでやってる店があるのか全く知らない。見当すらつかないまま、言葉だけが先走る。
「じゃあさ――」
時間でも確認したのか、トラオの顔がスマホの明かりで一瞬だけ照らされた。
「俺の部屋くる? こっから近いし、売店もまだ開いてる」
「え、行く」
「ふはっ。くるのかよ」
即答する私にトラオが笑う。自分から誘ったくせに、ひどい男だ。
こっち、と方向転換するトラオについていく。今度は私が後ろを歩く番。
「ね、ちょっと待って!」
数歩歩いたところで、私は足を止めた。
一つだけ、確認しなきゃいけないことがある。
ナンパっちゃナンパだったけど、そういうつもりで部屋に誘ったんじゃないことは分かる。なんとなく、カンで。
だとしても、聞いておかないと進めない。もしそうなら部屋に行くのもナシだから。
でもでも、聞くのは信念に反してしまう。
「リカちゃん?」
トラオの声に、信念を曲げる決心をする。
ごめんなさい。どこぞの神様に心の中で懺悔する。
「念のため、一応、聞いておきたいんだけど……」
不思議そうに近寄ってくるトラオに、思い切って問いかけた。
「み、美月ちゃんと付き合ってないんだよね……?」