ラビット・ボンド

CHAPTER 03

「起きた?」
 
「うん、起きたっぽい」

 ユイコの返事を確認して、私は椅子から腰を上げた。ダイニングテーブルに戻ってくるユイコの元に寄っていく。

「アキくん起きたのぉ~? おはよぉ~」

 人は何故、赤ちゃんに話しかけるとき3オクターブくらい声が高くなるんだろう。完全に無意識だからおもしろい。

 ユイコに抱かれるアキくんを覗き込む。寝る前はあんなにぐずってたのに、昼寝のおかげか、ずいぶん大人しくなっていた。
 普段は赤ちゃんなんて見ることないから、本当に見飽きない。いつだってふくふくしてるけど、寝起きだと余計にふくふくしている。
 
 満面の笑みをこぼす私に、アキくんはきょとんとした視線を返してきた。
 微妙なリアクションだ。泣かせてしまったら悪いから、構うのもほどほどにして席についた。


 ユイコは、大学時代の同級生だ。
 社会に出て数年、定期的に会う友人はユイコしかいない。もうちょっと人付き合いはあったはずだけど、だんだん連絡とらなくなって……社会人あるあるだ。ユイコとは月イチで会っている。
 ユイコがアキくんを産んでからも、それは変わらなかった。会う場所が居酒屋からユイコの家になっただけだ。

「ごめんごめん、何か話途中だった?」

 アキくんを抱いたまま、ユイコが椅子に座る。
 
 ううん、と私は首を振った。
 話してる最中にアキくんが起きたから、確かに途中っちゃ途中だったけど。

「美月ちゃんと久々に会えたよって、そんだけ」
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