ラビット・ボンド
「このツーショもなんか懐かしいわ。あの頃のリカ、ホントひどかったよね。男を食っては投げ食っては投げ……」

「そんな、人を食い投げアスリートみたいに……」

「私ちょうど妊娠中だったじゃん? 今だから言うけど、たまにうち来て荒れながら食い投げエピソード話してくリカ、超エンタメだった」

 今だから……と笑ってるけど、当時も普通に爆笑していた気がする。まあ、別にいいんだけど。
 
 ああいうときは、どうもこうもないから、ひたすら話を聞いてくれるのが一番効く。知ってか知らずか、ユイコはそうしてくれた。
 
「ナンパついてったのに酒癖の悪さに愛想つかされたって反省してたのとかさ、ほんと笑うから! ……ンフフフフ」
 
 ……笑いすぎじゃない? とは思うけども。

「ハイハイ、楽しんでくれたなら何よりです」

「で!? 今回も食い投げ!?」

「してないから! 酒にのまれただけだし!?」

 ギリギリっちゃギリギリだけど。気軽に食べられるような相手じゃなかった。
 
 なんだ、とユイコがつまんなそうに肩をすくめる。今回もエンタメを楽しもうとしていたらしい。
 
「もう……アイス食べる」
 
 苦笑しつつ、腰を上げる。そろそろ話題を切り上げたかった。
 別にユイコに話したところで他言はしないだろうけど、なんとなく、トラオとのことを話す気になれない。いまだに現実味もないし。

 ちょうど、おやつの時間だ。
 手土産も兼ねて、普段より良いアイスを買ってきていた。手土産と言いつつ、私が食べたかっただけだけど。

「冷蔵庫あけまーす」

 ほーい、という返事を背中で聞く。
 勝手知ったるなんとやら。私は、まるで我が家かのようにキッチンへと向かった。
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