ラビット・ボンド
「リカちゃん、なんか緊張してる?」
「バレた? 普段こんな上品な店こないからビビってる」
それだけではない。でも、トラオ本人に緊張してると思われるのは癪だから、そういうことにする。
前ほどではないけど、トラオへの対抗意識みたいなものがキレイさっぱり消えたわけじゃない。ファン心理は複雑怪奇なのだ。
「えー。リカちゃんが気に入りそうな店選んだつもりだったんだけどなぁ」
私の返答を聞いて、トラオがぼやく。口を尖らせる様子が子供みたいで、思わず頬が緩んだ。
トラオの魔術は今日も絶好調らしい。
トラオの正面に腰を下ろして、なんとなく辺りを見回してみる。確かに、店の印象は悪くない。ていうか、結構好きかもしれない。
ゆったりとした座敷の個室。足元は掘りごたつだから楽チンだ。
いつもはチェーン店とか安い居酒屋ばっかりだから、どうしても上品さにはビビってしまう。飲み屋なんてうるさくてナンボ精神で生きてきたから仕方ない。
でもまあ、すぐに慣れるはず。
「慣れてないだけで、結構好きな感じかも。やるじゃん」
気を使ってくれたっぽいし、褒めて遣わそう。おぬし、よくやったぞ。
「てか、とりあえず飲んでいい?」
緊張をほぐすにはアルコールが一番だ。
「さすがだねぇ」
トラオが笑う。何がさすがなのかは置いておいて、褒められてるってことにしておこう。
ちょうどいいタイミングで、店員さんが入ってきた。お店が上品だから、店員さんもお上品。おしぼりを受けとるだけなのに、謎に緊張する。
見計らって、トラオが酒を頼んでくれる。ありがたいけど、半笑いなのはいかがなものか。
ビビる私にウケているに違いない。今をときめくイケメン俳優の目には、新鮮に映るのかもしれない。
フン。一般人の感覚ってものをベンキョーするがいい。一般的なアラサー会社員がこんなもんかは知らんけど。
「バレた? 普段こんな上品な店こないからビビってる」
それだけではない。でも、トラオ本人に緊張してると思われるのは癪だから、そういうことにする。
前ほどではないけど、トラオへの対抗意識みたいなものがキレイさっぱり消えたわけじゃない。ファン心理は複雑怪奇なのだ。
「えー。リカちゃんが気に入りそうな店選んだつもりだったんだけどなぁ」
私の返答を聞いて、トラオがぼやく。口を尖らせる様子が子供みたいで、思わず頬が緩んだ。
トラオの魔術は今日も絶好調らしい。
トラオの正面に腰を下ろして、なんとなく辺りを見回してみる。確かに、店の印象は悪くない。ていうか、結構好きかもしれない。
ゆったりとした座敷の個室。足元は掘りごたつだから楽チンだ。
いつもはチェーン店とか安い居酒屋ばっかりだから、どうしても上品さにはビビってしまう。飲み屋なんてうるさくてナンボ精神で生きてきたから仕方ない。
でもまあ、すぐに慣れるはず。
「慣れてないだけで、結構好きな感じかも。やるじゃん」
気を使ってくれたっぽいし、褒めて遣わそう。おぬし、よくやったぞ。
「てか、とりあえず飲んでいい?」
緊張をほぐすにはアルコールが一番だ。
「さすがだねぇ」
トラオが笑う。何がさすがなのかは置いておいて、褒められてるってことにしておこう。
ちょうどいいタイミングで、店員さんが入ってきた。お店が上品だから、店員さんもお上品。おしぼりを受けとるだけなのに、謎に緊張する。
見計らって、トラオが酒を頼んでくれる。ありがたいけど、半笑いなのはいかがなものか。
ビビる私にウケているに違いない。今をときめくイケメン俳優の目には、新鮮に映るのかもしれない。
フン。一般人の感覚ってものをベンキョーするがいい。一般的なアラサー会社員がこんなもんかは知らんけど。