ラビット・ボンド
「急だったのもあるし、そもそも無視される可能性もあるかなって……」

 そう続けて、トラオが苦笑する。

「失礼な……。さすがに返事はするよ」

 私は、タメ息に次いで言葉を吐き出した。
 
 連絡先を交換したときの流れが流れだけに、言いたいことはわかる。良いように言いくるめられたようなもんだったし、やっぱ違ったわ……と後からなっててもおかしくないって話だと思う。
 でも、さすがに返事はする。連絡を無視するなんてしたことないし。しつこくされて面倒じゃなければ。

「ん。すぐ返事きて、嬉しかった」
 
 真ん丸な瞳で見つめられる。
 こうしてみると、無邪気な少年っぽく感じたりもする。自信満々にチャラついたかと思ったらこれだから、本当に不思議な男だ。

「ま、行くって答えたのはタイミング良かっただけだけど」

 わざと、つっぱねるように言う。
 ウソではないし、無邪気攻撃に素直にリアクションしてもおもしろくないし。まあ、冗談冗談。

 トラオも気付いたようで、大げさに眉を下げる。
 無邪気な少年から子犬へ、見事な転生だ。キュゥ~ンみたいな表情がツボで、思わず笑ってしまう。
 
「ふはっ。でもホント、適当に飲み行こうとしてたからちょうど良かった」

「そっか、マジで連絡して良かったわ。昼はずっと家いたの?」
 
 ううん、と首を横に振る。
 
「友達んち遊び行ってた」

 届き始めた品物を食べながら、昼間の出来事を適当に説明する。

 ていうか、うま!
 つまむ料理全てに衝撃を受ける。

「ね待って、全部おいしいんだけど!」
 
 明らかに、普段つまんでる料理と違う。舌が肥えてない私でも分かるレベル。
 普段やっすい飲み屋のやっすいつまみばっかりだから、そりゃあそうなんだけど――。

「うますぎる! どうしてくれんの!?」

「え、俺怒られてる?」
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