空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
羽田空港に隣接する本社ビル。その壮麗なロビーに足を踏み入れた瞬間、拓翔の背筋が伸びる。
「加賀美COP!おはようございます~!」
「おはようございます」
すれ違う同僚や地上職員たちと短く丁寧に挨拶を交わしながら、そのまま更衣室へ向かう。手早くシャツに袖を通し、濃紺のジャケットを羽織ると、鏡の前でネクタイの結び目を寸分の狂いもなく整えた。
オフィスへ移動すると、機長と落ち合う前にデスクに腰を下ろし、運航状況の確認に取りかかる。
端末を操作して最新の気象チャートNOTAMを読み込み、目的地空港周辺の視界や乱気流の発生予測、上空の風向・風速を順に確認していく。
さらに機材の整備状況や燃料計算、代替空港のコンディションまで目を通し、安全運航を脅かすわずかな兆しも見逃さないよう慎重に精査していた。
指先がキーボードの上を滑り、視線がデータを鋭く追っていたとき、背後から声がかかった。
「加賀美、ちょっといいか」
振り返ると、乗員室長が苦り切った表情で立っていた。いつもの快活さは影を潜め、ただならぬ空気をまとっている。
「おはようございます。何かありましたか?」
「ああ。急で悪いが、今日のフライトは外れてもらうことになった。……お前に、一次的な謹慎命令が出ている」
「……は?」
「詳細はコンプライアンス部から説明がある。今すぐ面談室へ向かってくれ」
思いがけない通達に、拓翔の眉がわずかに動く。
謹慎命令に加え、コンプライアンス部からの呼び出し。いずれも、通常の業務の延長にあるものではない。