空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜

 本当なら食事を用意するつもりだったが、もう間に合わない。せめてできることだけでもと、掃除や片付けに手をつける。

 けれど──十九時を過ぎても、玄関の開く音はしなかった。

(……遅れてるだけ、だよね)

 仕事で何かあったのかもしれない。ただ、道路が混んでいるだけかもしれない。そう自分に言い聞かせても、胸騒ぎが収まらない。

 また針が進み、十九時三十分を過ぎても連絡ひとつない事実に、不安が限界まで膨らみ仄香は思わずスマートフォンを手に取った。

 嫌な予感に突き動かされるまま、仄香はソファに座り込み、震える指で画面を操作する。

 里穂もまた、拓翔と同じ場所で働いているのだ。母があれだけの行動を起こした以上、里穂が何もしていないとは思えなかった。

 あの二人は、外見だけでなく内面もよく似ている。自分の思い通りにならなければ、手段を選ばないところまで。

 抑えようのない不安に突き動かされ、仄香はソファに座り込むと、震える指でスマートフォンの画面を叩いた。

 これまで一度も見ることのなかった、姉のSNSアカウント。画面に並ぶのは、煌びやかで華やかな投稿の数々。だが、その一番上に、異質なほど真っ暗な画像が投稿されていた。

《信じていた妹に、一番大切な人を奪われるなんて思わなかった。家族だから許すべきなの?私の傷ついた心はどうすれば癒えるの……》


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