空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜

 事実は里穂の都合のいいように歪められ、悲劇のヒロインを演じる言葉が並んでいる。そしてその下には、無数のコメントが並んでいた。

《最低!里穂さんかわいそう》
《その泥棒猫の女も浮気男も、さっさと晒すべきだよ》
《人のもの奪って幸せになれるとでも思ってんの?》

スクロールするたびに流れてくる言葉に、胸がえぐられる。

(……姉さん、どうしてここまで……)

 里穂のプライドが高いことは痛いほど分かっていた。けれど、ここまでやるとは思っていなかった。

 しかも彼女は、自分が大手航空会社の客室乗務員であることも公表している。この投稿を見れば、同じ業界の人間がどう動くかわからない。

 恐る恐るコメントを読み進める仄香の目に、ひとつの書き込みが飛び込んできた。

《里穂の彼氏って、あの人でしょ?同じ航空会社のパイロットで、将来有望って噂の》

 視界がぐにゃりと歪んだ。肺が押し潰されたように息が詰まり、続く言葉が、追い打ちをかけるように仄香を絶望へと突き落とす。

《こんな騒ぎ起こして、彼のキャリアも終わりだね》

(私のせいで、拓ちゃんが……)

 心臓が、強く締めつけられる。

 ようやく掴み取った幼いころからの夢。彼がどれほどの努力を重ね、どれほど誇りを持って目指してきたか。

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