空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
拓翔はそう言って腕を差し出してくる。その大きな手に導かれるようにして仄香もベッドを抜け出し、リビングへと移動した。
二人で分担しながら用意した朝食を口に運びながらも、仄香は先ほどの熱い感触が肌に残っているようで、どこかぎこちない動作になってしまう。
食事を終えると、いよいよ出社の準備に取り掛かる。
主寝室に併設されたウォークインクローゼットへ足を踏み入れると、そこには少し前までとは見違えるような光景が広がっていた。
以前の、最低限のものしか入っていなかった洋服を詰めた衣装ケースとは比較にならないその差に、正直まだ戸惑いが残る。
目の前には拓翔が「似合うから」と選んでくれた、上品で質の良い服たちが整然と並んでいて、指先で滑らかな生地に触れるたび、夢でない現実を知る。
服を選ぶ楽しさなんていつの間にか忘れていたはずなのに、気づけばどれにしようかと、胸を高鳴らせて指でなぞっていた。
仄香はその中から淡いブルーの落ち着いたワンピースを手に取り、そっと袖を通した。
オフィスに相応しい端正なデザインでありながら、顔映りを明るくしてくれる絶妙な色合い。鏡に映る自分を見て、ほんの少しだけ、外の世界へ向かうための自信をもらえた気がした。