空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
 洗面所でメイクを仕上げ、髪をハーフアップに整えてリビングへ戻ると、片付けを終えた拓翔が待っていた。

 仄香の姿を見た瞬間、拓翔の目がわずかに見開かれる。

 これまでは家にいることが多く、動きやすい服ばかりだった。外行きの装いに身を包んでいる姿を見るのは、彼にとっても初めてのことだった。

「……拓ちゃん?」

 あまりに無言で見つめられ、少しだけ不安になって呼びかけると、その表情がふわりとほころんだ。

「……綺麗だな。よく似合ってるよ」

 真っ直ぐな称賛に、また鼓動が跳ねる。けれど彼は少しだけ考え込む仕草をすると、「ちょっと待ってて」と言い残して一度席を外した。

 戻ってきた彼の手にあったのは、繊細な刺繍が施されたシルクのスカーフだった。そのまま仄香の前に立ち、自然な手つきで首元にかける。

「……これ、巻いておこうか。さっきつけたやつ、そのままだと見えそうだから」

 囁きながら、拓翔の視線が仄香の首元を滑る。鏡を見ずとも、先ほどの痕跡が鮮明に残っているのが分かり、仄香は声を漏らして赤面した。

「……ごめん。仄香が甘えてくるのがあまりにうれしくて、加減を忘れた」

 謝りながらも、その目に反省の色はない。むしろどこか満足げで、優しい手つきでスカーフをふわりと巻いていく。

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