空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「ああ。俺が依頼した弁護士だ。これまでの経緯はすべて話してある。職場で母親の件を話題に出されたら、これを使ってくれ。それから……これは当たってほしくはないが、もし母親が職場に来た時も、これを突きつけてやれ」
拓翔の厳しい表情に、仄香は息を呑みながらも、しっかりと頷いた。
「これだけは忘れないでほしい。何があっても、君のことは必ず俺が守るから」
まっすぐな言葉が、静かに胸へ落ちてくる。
拓翔の強い意志に触れ、不思議と身体の震えが収まっていく。彼から渡された「お守り」を、想いごと抱きしめるように手のひらで包んだ。
「……ありがとう、拓ちゃん」
掠れそうになる声を、なんとか言葉にする。その一言には、取り繕いのない気持ちがそのまま滲んでいた。
「拓ちゃんがいてくれるから、私は大丈夫だよ。……行ってくるね」
「ああ。……俺も、できるだけ早く帰るよ」
最後にもう一度、言葉の代わりに抱きしめ合う。
スカーフの下の熱い印と、手の中の名刺。そのどちらもが、仄香の中に静かな勇気をくれていた。
離れる指先にほんのわずかな名残を残したまま、それぞれが向かうべき場所へと足を踏み出した。