空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「桐生さん、さっきの騒ぎは聞こえたね。今、警備と連携して対応している。念のため、警察にも連絡を入れたところだ」
その言葉に、仄香は息を整えながら頷く。
「……通報は、このまま進めても構わないか?」
一瞬だけ、迷いがよぎる。けれど──
(このままにしていたら、きっとまた同じことを繰り返す)
そう思った瞬間、わずかに残っていた迷いが消えた。
「……はい。構いません」
はっきりと答えてから、さらに言葉を足す。
「ただ、その前に……少しだけ、母と話をしてきてもいいですか」
支店長はわずかに眉を寄せたが、すぐに小さく頷いた。
それを確認して頭を下げ、応接室を後にする。
すでに母は警備員に連れられ、店舗裏の搬入口付近へと移動させられていた。外へ出る直前、仄香は一度立ち止まり、深く呼吸を繰り返す。
(大丈夫……私はもう、一人じゃない)
スカーフの上からそっと首元に触れ、ぎゅっと握りしめた。その下に残る彼の証を意識しながら、もう一度だけ呼吸を整え、外へと踏み出す。
裏手のスペースで、母は警備員に腕を押さえられていた。そして仄香の姿を見つけた瞬間、待ち構えていたかのように、ぎらついた笑みを浮かべた。