空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「あの子は自分のことばかりで、家事もしないで遊び歩いて、散財ばかり。……あの日からずっとイライラして、私にも冷たいの。あんな子に、私の老後なんて任せられるわけないでしょ!」
吐き出されたのは、ひどく身勝手な不満だった。
自分がいなくなったことで、家の中が回らなくなった。里穂が思い通りに動かないから、また扱いやすい「家政婦」が必要になった。その事実が、あまりにもはっきりと見えてしまった。
(ああ……この人は、どこまでも自分が一番かわいいんだ)
母の本音が透けて見えた瞬間、仄香の中にわずかに残っていた情が、音もなく失望へと変わった。
父が亡くなった時もそうだった。口を突いて出るのは、金の心配と父への恨み言ばかり。不倫自体が良くないことだとしても、その原因の一端が自分にあった可能性など、一度も考えようとはしなかった。
社長夫人の座を失った苛立ちを、ただ仄香を叩くことで発散してきた。
母にとっての自分は、娘ですらない。怒りをぶつけるためのサンドバッグであり、便利な所有物。それが勝手に意志を持ち、自分の支配から逃げ出したことが、ただ許せないだけなのだ。
「……姉さんと、うまくいってないんだね」
「当たり前でしょ!あんな我儘な子と一緒に暮らすなんて無理よ。だから、あんたが戻ってこなきゃいけないの!」