空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
キィッ、と激しいブレーキ音を立てて一台のタクシーが背後に急停車し、ドアが勢いよく開いた。
「──やっと見つけたわよ!拓翔!!」
そこから飛び出してきたのは里穂だった。
それを目にした瞬間、拓翔は一歩前に出て、仄香を背に庇うように静かに立ちはだかる。
髪を乱し、化粧も崩れ、なりふり構わぬ形相で里穂が駆け寄ってくる。かつての華やかさは影もなく、執念と焦りだけが顔立ちを歪めていた。
「懲戒解雇ってなによ!あんたが余計なことしたせいで……っ、一体どうしてくれんのよ!」
里穂は拓翔の胸倉を掴み、狂ったように叫ぶ。
(……解雇……?)
耳に飛び込んできた言葉に、仄香は息を呑む。何がどうなっているのか状況が全く飲み込めないまま、呆然と二人を見つめることしかできない。
だが、罵声を浴びせられている当の拓翔は眉一つ動かさなかった。そして、心底うんざりしたようにわずかに息を吐く。
「何もかも、お前の自業自得だろ」
「はあ!?」
里穂がなおも叫び返すが、その声を遮るように拓翔の視線が冷たく落ちた。そこにあるのは怒りですらない、完全な拒絶だった。
「俺に当たり散らしたところで、お前の状況は何も変わらない。見当違いもいいところだな」
氷のように冷たい声が、里穂のヒステリーを容赦なく切り裂く。