空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
数分走ってたどり着いた地下駐車場から、静まり返ったエレベーターに乗り込む。二十六階に到着し、扉が並ぶ内廊下を歩く間も、仄香の足元はどこか宙に浮いたように頼りなかった。
家の中に入り、リビングのソファに身を沈めたところで、ようやく肺の奥まで息を吸い込むことができた。
二十年以上もの間、自分を縛りつけていた母と姉、その二人と同時に縁が切れたのだ。あまりにも大きな出来事が一度に重なりすぎて、実感が追いつかない。
「仄香。何考えてる?」
いつの間にか隣に座っていた拓翔が、覗き込むように問いかけてくる。
仄香は目を合わせ、力なく苦笑を返した。
「……いろいろありすぎて、整理がつかなくて。これからはあの人たちと会わなくていいんだって、まだ実感が湧かないの」
素直にこぼすと、拓翔は「そうだな」と短く同意し、仄香の指を絡め取るように握った。
「これまでずっと苦しんできたんだから、無理もない。……でも、この先はもう何にも怯えなくていい。君は自由だ。それだけは確かだよ」
真っ直ぐな言葉で優しい現実を突きつけられ、仄香の強張っていた肩がようやく少しだけ降りた。
自由──その響きを噛み締めたとき、ふと、胸に引っかかっていた疑問が浮かんだ。
「そういえば……姉さんは、どうしてあんなに怒ってたの?それに、懲戒解雇って……」