空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
(そういえば……)
思い返してみれば、里穂はやたらとハイブランドのバッグやアクセサリーを持っていた。てっきりデート相手たちから貢がせているのだと思っていたが、その中に「家庭のある相手」が含まれていたなんて──
「不倫については、相手の家族がすでに疑っていて、独自に調べていたらしい。そこに他の件も重なって、一気に表に出ただけだ」
淡々とした説明のあと、拓翔はほんの一瞬だけ間を置く。
「……まあ俺も、多少手を加えはしたけどな」
「え……?」
思わず顔を上げると、拓翔の目がすっと細くなる。
「証言と裏アカの内容を突き合わせて、言い逃れできない形にして上に出しただけだ。大したことじゃない」
軽く言い切る声音が、かえって冷たく響く。
「言っただろ。全部、あいつの自業自得だって」
最後に、悪いことはするものじゃないな、と、子どもが悪戯をうまくやり遂げたときのように、わずかに笑った。
その直後、拓翔はおもむろにスマートフォンを取り出し、仄香に画面を向けた。
「それから、これ」
差し出された画面には、先ほどの騒動の断片がすでに拡散されていた。
『見てんじゃないわよ!この…っ』
再生された動画の中では髪を振り乱し、顔を真っ赤にして喚き散らす里穂の姿が切り取られ、さらされている。
《修羅場ウケる》《これはさすがに草》《性格の悪さが顔に出てるな……。完全終了お疲れ様です》
匿名の軽薄な言葉が、面白半分に里穂を踏みつけていく。