空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
──そして、迎えた旅行当日。
仄香はかすかな緊張と、それを上回るほどの楽しみに胸を弾ませながら、機内の座席に身を預けていた。
エンジンの力強い鼓動が機体に伝わり、窓の外では滑走路の景色が猛烈な速度で後ろへと流れていく。ふわりと体が浮き上がる独特の感覚とともに、巨大な鉄の鳥は大空へと舞い上がった。
雲を突き抜け高度を上げた先に広がっていたのは、どこまでも遮るもののない、透き通るような蒼の世界。
『皆様、本日はスターアライアンス・メンバー、スカイジャパン航空をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。当便のチーフパーサーは佐藤でございます。そして、機長は西名、副操縦士は、加賀美が担当いたします』
その名が告げられた瞬間、仄香の鼓動がひときわ大きく跳ねた。
(拓ちゃん……)
自分の名字と同じ、愛する人の名前。彼が今、この機体を操り、自分を空の上へと導いてくれている。
窓の向こうに広がる青を見つめながら、仄香は壁一枚隔てた先にいる拓翔の姿を思い描く。
無数の計器に囲まれ、前方を見据えて操縦桿を握る姿。直接見ているわけではないけれど、落ち着いた動きの一つひとつまで思い浮かぶようで、それだけで安心して身を委ねられる気がした。
その存在に包まれるような安心感とともに、仄香は静かに息をついた。