空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
ほんのわずかな時間を引き延ばすようにその場にとどまり、やがて人の気配がまばらになった頃、仄香はようやく腰を上げた。
機体から降り、入国審査を終えた仄香は、空港内にある見晴らしのいいカフェの窓際に席を取った。
指定された場所で彼を待つ間、注文した冷たい飲み物には手をつけず、ただぼんやりと滑走路を眺める。つい先ほどまで自分がいた空は、地上から見上げても変わらず高く、吸い込まれそうなほどに美しい。
(……拓ちゃん、まだかな)
そう思った直後、ふと、背後に人の気配を感じた。
間違いなく拓翔だと信じ、弾かれたように顔を上げた。けれど、そこに立っていたのは思い描いた顔ではなく、見知らぬ外国人の男性だった。
「Hey, beautiful. Are you waiting for someone?(きれいなお嬢さん。誰かを待ってるの?)」
気さくな笑みを浮かべたその男は、躊躇いなく距離を詰めてくる。
「え、あの……」
「You look bored. Mind if I join you?(退屈そうだね。隣、いい?)」
咄嗟のことに頭が回らず、距離を詰められ、思わず身を引く。
「I know a nice place nearby. Maybe we can go together.(この近くにいい店があるんだ。一緒に行かない?)」
「えっ…と、その、わたし……」
事前に簡単な英語は頭に入れてきたはずなのに、いざとなると意味を追うだけで精一杯になる。