空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
そのまま台所に立ち、義務のように朝食の準備を始める。無感情に手を動かし、卵を焼き、トーストを並べ、紅茶を淹れる。
やがて、廊下の向こうから明るい話し声が近づいてきた。
「お母さん、このピアスどう思う?この前買ったCHANELの新作なんだけど」
「いいじゃない。すごく素敵。お母さんもね、PRADAのワンピース買ったのだけど……ちょっと若すぎるかしら」
「そんなことない。お母さんもよく似合ってるよ。こうしてると、私たちの方が姉妹に見えちゃうかもね〜」
そんな取りとともにリビングへ入ってきた母と里穂は、まるで舞踏会にでも行くかのように浮足立っていた。
里穂は身体のラインを綺麗に見せるワンピースに身を包み、丁寧に巻かれた髪からは甘い香水の香りを漂わせていた。
母もまた年齢を感じさせない華やかさで、里穂とよく似た面差しをしている。その美しさが、そのまま里穂に受け継がれていることは一目でわかった。
その対比のように、着古した服と擦り切れたエプロン姿で立ち尽くす仄香は、ただそこにあるだけの背景のようだった。
「ちょっと仄香!いつまでぼーっとしてるの?やることあるでしょ。さっさと動きなさいよ」
さっきまでの柔らかな声が嘘のように、里穂の表情がすっと冷える。露骨に眉を寄せ、細められた瞳が鋭く仄香を射抜いた。