空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「……彼氏、ね」
拓翔が低く、押し殺した声で呟いた。怒りよりもなお冷たい、隠しきれない軽蔑が滲み、ひやりと背筋が凍る。
「悪いな。最初から、全部嘘だ」
「……は?」
里穂の目が大きく見開かれ、その表情が、みるみるうちに崩れていく。
「俺が里穂に近づいた理由はただ一つ。──仄香に会うためだ」
その一言が落ちた瞬間、空気が変わった。里穂が顔を引きつらせ、母が言葉を失って凍りつく。
「は……ちょっと、なんなの?どういうことよ……!」
「仄香に会うため……?あなた、何を世迷言を……っ」
母の声がヒステリックに跳ね、部屋の空気が一気に張り詰めた。だが拓翔は怯むことなく里穂を見下ろし、淡々と言葉を重ねる。
「最初から、あんたに特別な感情なんてこれっぽっちもなかった。もう一度言うが、俺がこの家に足を踏み入れた理由は、仄香に会うためだ」
「なっ……!」
里穂が息を呑み、頬を引きつらせた。「ふざけないで!」と叫ぶ声が、虚しく室内に響く。
「私を騙したの!?仄香のために?冗談じゃないわ!あんた、今まで仄香どころか昔のことなんて一言もいってこなかったじゃない!!」
「忘れるわけないだろ」
その声は冷たく、刃のように鋭かった。