空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
拓翔の視線がまっすぐ里穂に突き刺さる。仄香の肩を抱く腕に、わずかに力がこもった。
「……全部、覚えてる。子どもの頃、あんたは事あるごとに俺のことを『貧乏人』と罵り、馬鹿にして笑っていた」
リビングの空気が、ピキリと凍りつく。里穂がわずかに後ずさり、母の表情が醜く歪む。
「それに……」
拓翔の視線が、今度は母へと移る。
「母を亡くし、男手ひとつで俺を育ててくれた父のことまで、あんたは侮辱した。『甲斐性がないから妻を死なせた』『あんな育ちの悪いガキが娘の周りをうろついていて鬱陶しい』──そうやって近所中に悪評を言いふらしていたことを、俺が知らないとでも思ったか?」
母の表情が強ばり、口元が震える。里穂が「ちょっと待ってよ」と絞り出すように声を上げるが、拓翔の峻烈な声がそれを遮った。
「それでも、仄香だけは違った。優しくて、純粋で、誰よりも人を想える子だった。だが、あんたたちはそんな彼女さえ『出来損ない』だと見下し、搾取し続けてきた」
その声音は静かだが、底知れぬ怒りと悲しみが同居していた。
「……だから、俺はここに来た。どんな手段を使ってでも、仄香に救い出すために」