空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
その言葉には、言い訳も誤魔化しもなかった。ただ揺るぎない意思だけが、まっすぐに込められていた。
拓翔は腕の中の仄香を見つめ、声音を柔らかく落とす。
「仄香……遅くなってごめん。こんなやり方しかできなくて、本当にごめん。でも俺は、どうしてもあの時の約束を守りたかったんだ」
仄香の視界が、一気に涙で滲んだ。次々とあふれる涙が顎を濡らし、嗚咽が漏れそうになる。
「拓ちゃん……」
(……全部、覚えててくれてた。私のことも、あの日の約束も)
言葉にならない喜びが、凍りついた心の底から溢れ出す。
拓翔の瞳は、里穂や母に向けられた冷徹さとは正反対に、ただ仄香だけを慈しむように見つめていた。そこには、少年時代の面影をそのままに、強い意思を宿した大人の覚悟が滲んでいた。
その光景を前に、里穂の顔がみるみる赤く染まっていく。唇を噛み切りそうな勢いで、ついに怒りが爆ぜた。
「ふざけないでよ!じゃあなに?最初から私を利用したってこと!?最っ低!こんな女のために、この私を……!」
「“こんな女”じゃない」
その瞬間、拓翔の声が空気を鋭く両断した。
「仄香は、俺にとって何よりも代えがたい、世界で一番大切な人だ。お前たちなんかに見下されるような人間じゃない」