空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「だけど、うっかり仕事場で名前で呼んでしまわないように気を付けないと。君に迷惑をかけたくないからね」
「私は別に気にしないわよ?それに私たちの関係、すでに結構噂になってるもの」
(そりゃ、お前がいたるところで言いふらしてるからだろうが……)
内心で冷笑を返す。
里穂はよほど周囲にマウントをとりたいのか、拓翔に誘われたことを同僚たちに触れ回っている。事実、拓翔自身も同僚から里穂との仲を冷やかされることが増えていた。適当に濁してはいるが、鬱陶しいことこの上ない。
「私、拓翔とは運命を感じてるの。だって私たち、並んでるだけで絵になるし、好きな物も似てる。誰が見てもお似合いじゃない?」
うっとりとした声音でささやかれる妄言に、拓翔は静かに同意する。
「ああ……。そうだな」
それはある意味で、紛れもない本心だった。仄香へと繋がる唯一の道という点では、里穂との再会は「運命」とも言える。
当然、里穂はそれを自分への愛の言葉だと受け取り、勝利を確信したように拓翔の腕に身を寄せた。
その後、夜の街を滑る車内で、彼女はさらに距離を詰めてくる。
「ねえ……このあと、どうする?」
潤んだ瞳で誘いかけてくる里穂。その視線には、このまま拓翔をを完全に手中に収めたいという下心が透けて見えた。