空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「絶対だめだ」
「で、でも……っ」
「見ての通り、二人で並んでも十分すぎる広さがある。再会してすぐ手を出すなんて野暮なことはしない。……頼むから、ここで寝てくれ」
最後は縋るような目で見つめられ、その圧に負けた。緊張で指先までガチガチになったまま、ベッドに横になった……はずなのに、こんなにぐっすりと眠ってしまうなんて。
「………」
拓翔だから緊張する。けれど、拓翔だからこそ安心する。そんな矛盾を抱きながらそっと起き上がると、すでに寝室に彼の気配はなかった。
視線をずらすとそこは空席で、体温の名残だけが微かに残っている。代わりにリビングの方から、何かを焼くパチパチという小気味いい音が聞こえてきた。
ベッドから足を下ろし、用意されていたスリッパに足を入れる。廊下を通り過ぎてリビングへ入ると、そこにはエプロンをつけた拓翔の姿があった。
朝日を背負ってキッチンに立つ彼は、まるで一枚の絵画のようにきれいだった。
「おはよう、仄香」
振り返った拓翔が、蕩けるような笑顔を向けてくる。あまりにも自然な朝の光景に、仄香の心臓が朝から激しく暴れ出す。
「お、おはよう、拓ちゃん……。ごめんなさい、私、寝坊しちゃって」
「いいんだよ。それだけ安心して眠れたってことだろ?俺はそっちの方がうれしいから」