空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
言葉通り、仄香に好きな服を選ぶ余裕なんてなかった。身につけていたのは大抵、里穂が飽きて放り出したお下がりか、なけなしのお小遣いの範囲で買った安物ばかり。
ガラス越しに眺めるだけの華やかな世界は、仄香にとってずっと遠い場所の、自分とは無縁な出来事だったから。
「じゃあディスプレイを見ながら、仄香に似合いそうなものを一緒に探そう」
拓翔は困ったような顔も見せず、繋いだ手にそっと力を込めて歩き出した。
すれ違う女性たちはどこか自信に満ちていて、纏っている空気まできれいに見えた。その中にいる自分だけが場違いな気がして、思わず視線が足元へ落ちる。
そんな中、不意に拓翔が足を止めた。
「あそこの服、仄香に似合いそうだな」
「えっ」
吸い込まれるように入ったその店は、シンプルながらも質の良さを感じさせる、上品なデザインが揃っていた。「いらっしゃいませ」と店員からにこやかに迎えられると、拓翔は物怖じすることなく、穏やかな口調で言葉を返す。
「店の正面に飾ってあった服、彼女に似合いそうだなと思って。ほかにもいくつか試着させてもらえますか?」
自然な言い方に、店員の視線が隣に立つ仄香へと移る。