空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「ご指示いただいた資料ができました。ご確認をお願いします」
整理した旅行計画表を上司に差し出すと、「助かる」と短く返ってくる。
「いえ……」
仄香は曖昧にそう答え、軽く頭を下げて自席へ戻った。
褒められたいわけではない。ただ、波風さえ立たなければそれでいい。仄香にとって、ここは家よりずっと息がしやすい場所だった。
席に戻るとすぐ、受話器が鳴った。
「はい、オリオンツアーズでございます」
『あ、あの、すみません。先日予約した家族旅行の件で、急ぎで日程を変更したくて……』
相手の声にはやや焦りが滲んでいたが、仄香の声色は変わらなかった。
「ありがとうございます。ご予約のお名前を、フルネームでお願いいたします」
名前を聞き取るとキーボードを軽く叩き、予約システムを検索する。ほどなくして、画面に予約情報が表示された。
「山田様ですね。ご予約は1月15日発、北海道・ニセコ三泊四日のスキー旅行プランでお間違いございませんでしょうか」
『はい、それです。ただ実は、急に仕事の予定が変わってしまって。一日ずらせるかどうか確認したいんです』
「かしこまりました。では、1月16日発への変更でお手配をお調べいたしますね」
『あ!もし可能なら、同じプラン内容のままでお願いしたくて』
「承知いたしました。空き状況をお調べいたしますので、少々お待ちいただけますか」
『お願いします』