空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
(美味しそう……)
見ているだけで食欲がそそられる。けれど同時に、ほんの少しだけ悔しさもこみ上げる。
(私、本当に何もさせてもらえてない……。何かしなきゃって思うのに、拓ちゃんが完璧すぎて……)
小さな敗北感を覚えながら、仄香は椅子に腰を下ろした。
「仄香、クロワッサンには何をつける?いちごジャムもあるし、クロテッドクリームも用意してあるよ」
「えっと……じゃあ、いちごのジャムがいいな」
「了解」
拓翔はジャムの瓶の蓋を開けると、真っ赤な果肉が透けるそれを、小さな白い小皿に丁寧に取り分けた。
「ありがとう」とお礼を言い、仄香が小皿に手を伸ばそうとしたのだが。
「あ、待って」
拓翔の大きな手が、優しく仄香の手を制した。
彼はクロワッサンを一口大にちぎると、スプーンですくったいちごジャムをたっぷりと乗せる。そしてそれを、仄香の口元へと運んできた。
「はい、仄香。口開けて」
「えっ!?」
突然のことに、思考が一瞬で白くなる。
「い、いいよ!自分でできるし、恥ずかしいから……っ」
「なんで?前は普通に食べさせあいしてただろ」
「ち、小さいころの話でしょ……」
「……やっとこうして仄香と恋人になれたのに、させてくれないの?」
「……っ」