空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
(そんな顔するの、ずるい……)
語尾をわずかに落とした、甘えるような声。覗き込むような視線はやわらかいのに、じんわりと抗いがたい熱を帯びている。
無邪気で可愛らしかった昔とは違い、今の彼は大人の男性特有の色気が滲んでいる。凛々しく整った顔立ちとその艶に、まともに見返すことすらできなくなる。
結局、仄香は観念して小さな口を開けるしかなかった。
口に入るとバターの香り豊かなクロワッサンの層がほどけ、いちごの甘酸っぱさがふわりと広がる。
「美味しい?」
「……うん……」
本音を言えば、味わう余裕なんてなかった。それよりも、拓翔の甘すぎる言葉と態度に意識をすべて持っていかれてしまう。
仄香の返事を聞くと、拓翔は満足そうに「よかった」と笑い、そこでようやく身を引いた。
そのまま自分のクロワッサンにもジャムをのせて口に運ぶ。指先の動き一つまでも様になっていて、思わず目を奪われる。
火照った頬を隠すように俯いた、そのとき。不意に自分のプレートの隅にあるそれが視界に入った。
そこにはどこかユーモラスに足を広げた、足の数の多すぎるウインナーが二つ、仲良く並んでいる。
「……拓ちゃん、これ……」
声をかけると、拓翔は嬉しそうに目を細めた。