空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
仕事を終えて帰ってくる拓翔に、どんなものが体にいいか。何より、どうすれば一番喜んでもらえるか。
誰かの笑顔を思い浮かべて献立を考える時間も、静かなキッチンで手を動かす時間も、今の仄香にとってはどれも新鮮で、心が満たされていくものだった。
「すごいな仄香。俺よりずっとこの家の家電を使いこなしてるな」
どこか嬉しそうに、拓翔が目を細めて言う。
「ありがとう。……全部、拓ちゃんのおかげだよ」
少し照れたように微笑みながら、仄香も素直に言葉を返す。
「なんでも褒めてくれるし、小さなことにも感謝してくれる。だから私、少しでも拓ちゃんが喜んでくれることをしたいの」
笑みをほころばせ、心からの気持ちをまっすぐに伝える。するとふいに、料理を口に運んでいた拓翔の手が止まった。
「……仄香、よく笑うようになったね」
「え?」
「再会したばかりの頃は、今にも消えてしまいそうなくらい弱々しくて、正直、すごく心配だった」
「……」
「だからこうして、君の笑顔が見られるようになって……本当に嬉しい」
拓翔の眼差しには、言葉どおりの喜びと、深い慈しみが滲んでいた。
絶望しか見えなかった日々を、彼が少しずつ変えてくれた。その事実を噛みしめるたび、仄香の中にあたたかなものが満ちていく。