空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
そう言って真っ赤に染まる頬に顔を寄せ、吐息を吸い込むように唇で塞ぐ。
「んっ……」
艶やかな声を漏らしながら、仄香は拓翔のキスに応えるように震える舌を伸ばす。そのいじらしい積極性は、拓翔にとってあまりに甘い毒だ。
(まずいな……これ以上は、仕事に行けなくなる)
沸き上がる煩悩になんとか抗って唇を離すと、最後に一度だけ仄香の額に口づけを落として輪郭を撫でた。
「先に行ってる。ゆっくりでいいから、服を着て出ておいで」
後ろ髪を引かれる思いを断ち切るようにベッドを抜け出し、寝室を後にした。
足早に向かった洗面所でドアを閉めた瞬間、肺に残っていた仄香の甘い香りを押し出すように深く息を吐く。そのまま洗面台の両端に手をつき、鏡の中の自分を見据えた。
そこに映っていたのは、抑えきれない笑みを引きずった、締まりのない男の顔だった。
「……だっせえ」
低く吐き捨てると同時に、蛇口を全開にひねる。
勢いよく溢れ出す冷水を頭から被るようにして顔を洗い、強引に熱を冷ました。
顔を上げると、濡れた前髪から滴る水滴が顎を伝い、広い胸元へと滑り落ちていく。ふと鏡の向こうを見ると、髪の隙間から覗く視線がようやく本来の鋭さを取り戻していた。
タオルで乱暴に水分を拭き取り、そのままウォークインクローゼットへ向かう。