10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
「美織ちゃん!私、社長の恋人だと思われてるの……!?」
今度はできるだけ声を潜めて問いかけると、美織ちゃんはきょとんとした顔で首を傾げた。
「違うんですか?」
違いますよ!心の中で全力で否定する。どうしてそんなことになるのか、全く意味が分からない。
混乱したまま詳しく話を聞くと、どうやら原因は、私が体調を崩していたのに無理をして出社したあの日にあるらしい。
その日、経理部全体が社長から、かなり厳しく叱られたのだという。白石に仕事を任せすぎだ、とか、今度倒れたら全員の責任になることも忘れるな、とか。
……そこまで?
私がいない間に、そんなことが起きていたなんて、想像もしていなかった。呆れたような、申し訳ないような、でもそれ以上に落ち着かない気持ちが胸の中に広がっていく。
だって、それじゃまるで、本当に私が特別扱いされているみたいじゃないか。しかも、それが“社長の恋人だから”なんて理由で広まっているなんて、冗談じゃ済まない。
「でも、私も人のことは言えませんけど、みんな白石さんに任せすぎだと思ってたので、すっきりしました」
美織ちゃんはフフッと楽しそうに笑ってから、「社長があんなこと言うなんて、白石さんは恋人に違いないって結論になったんですよ」と、どこか面白がるように続けた。
いやいや、なんでそうなるの?