10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「美織ちゃん、あのね。私と社長はそんな関係じゃないから……!」


できるだけはっきりと言い切ると、美織ちゃんは「あれ?」という顔をしてから、少しだけ残念そうに眉を下げた。


「白石さん、少しは社長に対してラブがあるんじゃないんですか~?」


ラブって、なんだ。ラブって。

しかも美織ちゃんは、顔の前で両手を使ってハートまで作ってみせる始末で、私は半ば呆れながらため息をついた。


「私と社長は、そんな関係じゃありません」

「え~?白石さんはそうでも、社長はそうじゃないと思うんだけどな~」

「え……?」


聞き返す間もなく、美織ちゃんはそれ以上何も言わず、椅子をスーッと元の位置に戻して、自分のデスクへと向かってしまう。

“白石さんはそうでも、社長はそうじゃない”?

えっと、それは……どういう意味?

美織ちゃんに詳しく聞きたい、さっきの発言の真意をちゃんと確かめたい、そう思うのに、当の本人はもう完全に仕事モードに入っていて、声をかけるタイミングすら見つからない。


どうしよう、気になる…!気になって仕方ない…!

いやでも、美織ちゃんが勝手にそう思っているだけで、実際はそんなことないだろうし……?

自分に言い聞かせるように何度も心の中で繰り返して、私は小さく息を吐いた。

これ以上考えても答えなんて出ない。気を取り直して、目の前のパソコンに向き合う。


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