10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「いやいやいや!」


思わず全力で否定する。好きとか、そういうのじゃない!断じて違う!


「私だったら、そんなのすぐ好きになるけどな~」


紗耶香は梅酒を美味しそうに飲みながら、何気なくそう言った。


「それは、紗耶香だけでしょ~」


私は軽く笑って返しつつ、自分のグラスを手に取って一口飲む。

好きとか、そんなんじゃない。絶対にない。そもそも私と社長なんて釣り合わないし、あっちだってきっと別の世界の人間だ。あの人には婚約者とか、そういうちゃんとした相手がいる可能性だってあるんだから。

そう思った瞬間、胸の奥がじわっと嫌な感覚に締めつけられた。

そうだよ。もしそうなら、どうして私のことなんか特別扱いするの?急に名前で呼んできたり、やたら世話を焼いてきたり。

あの日だってそうだ。手を握られて、動揺していた私を見て笑っていた。完全に弄ばれてた。

思い出せば思い出すほど、じわじわとイライラが込み上げてくる。

決まった相手がいるのに、私にあんなことするのってどうなの?なんで私ばっかり振り回されてるの?


「私は、絶対好きにならないもん……」


ぽつりと呟くと、紗耶香は少しだけ目を細めた。


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