10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「思いのほか早く仕事も終わったし、梨沙、疲れてるだろうなと思って。ダメだったか?」

「~~~っ!!」


だ、ダメなわけないじゃないですか……!むしろ、嬉しすぎてどうしたらいいか分からないくらいなのに。こういうところ。ほんとに、こういうところなんですけど、社長っ……!


「社長って、絶対弟か妹いますよね。こんなに甘やかし上手な人、他に知りませんよ」


素直に「嬉しい」なんて言えない自分が、ちょっとだけもどかしい。けれど社長は、そんな私の言葉に気を悪くするどころか、くすっと小さく笑った。


「残念ながら俺は兄弟なんていないし、甘やかすのも梨沙だけだよ」

「……。」


ま、た……そうやって。優しくするくせに、期待させるようなこと言うくせに。

どうせ、私のことなんて――なんとも思ってないくせに。


「そういうの、本当よくないですよ。社長には婚約者だっているんだろうし」


わざと少し強めに言い返したのに、その瞬間、自分の胸の奥がズキンと痛んだ。

……何言ってるんだろ、私。そんなこと、言う資格なんてないのに。そもそも、好きでもないはずなのに。なのに、どうしてこんなに――引っかかるの。


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