10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない

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八百億円――会社史上最大規模の海外契約。

営業部が相手国の大手企業と接触した時、私はただ数字を追うだけの経理担当だったが、黒崎社長の下では、ただ確認するだけでは済まされない。


交渉は予想以上に難航した。


条件面の折り合いがつかず、契約は何度も延期される。

部長から「白石、資金面のリスクを洗い出せ」と指示が飛ぶたび、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。


海外銀行の送金システム、為替変動、相手国の規制――あらゆる角度からリスクを計算し、何度もシュミレーションを作り直す。


営業部の担当者は焦りで声を荒げるが、私の肩に緊張が押し付けられる。



夜も遅くなり、ほとんどの社員が帰宅したフロアで、私は一人資料に向かっていた。

すると、背後から低く冷たい声がした。


「白石、ここまでの進捗はどうだ」


振り返ると、社長が立っていた。長身で鋭い視線、無駄のない動き。



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