10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
自分のデスクに戻ると、美織ちゃんが少しニヤニヤした顔で近づいてきた。
「白石さ~ん!」
「なーに?美織ちゃん」
「社長が、処理終わったら社長室に報告しに来いって。なんのことか分からないですけど」
さっきの井口の件だろう。そう思いながら「分かった、ありがとう」と返すと、美織ちゃんはじーっと私の顔を覗き込んできた。
「なんか白石さん、最近楽しそうですね?」
軽く小突かれて、思わず笑ってしまう。
「分かっちゃう?美織ちゃん」
「分かりますよぉ~!何かあったんですか?」
キラキラした目で身を乗り出してくるその様子に、少しだけ迷う。
来年立ち上がる支社のプロジェクトに経理代表として関わることが決まったことも、社長と穏やかに関係を築けていることも、本当は全部言いたいくらい嬉しい。でも、今はまだ胸の中に大事にしまっておきたくて。
「ふふ、内緒!」
そう言って笑うと、「え~!気になります~!」と分かりやすく頬を膨らませる。その反応が可愛くて、また笑ってしまう。