10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「私も最近楽しいんですよ?経理の仕事!数字がぴったり合ったときの爽快感というか!」


その言葉に、思わず目を見開いた。


「でも私、白石さんみたいに恋にも全力ですからね!最近、いい人見つけたんですよ~」


その一言に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

この子はちゃんと、自分の気持ちも、仕事も、どっちも大事にできてる。あの頃の私みたいに、どちらかを諦めてしまうこともなく。

ふと、少し前の自分を思い出す。仕事しかないって思い込んで、余裕もなくて、周りも見えていなかった自分。美織ちゃんに何か言葉をかけてあげたくても、うまく言えなかったあの頃。


「ねえ、美織ちゃん」

「はい?」


顔を上げたその子に、今ならちゃんと言える気がした。


「どっちも大事にしていいんだよ」


少しだけ驚いた顔をして、それからふっと笑う。


「白石さんらしいですね」


その言葉に、自分でも少し驚く。ああ、私、ちゃんと変われてるんだなって思えたから。


「さ、仕事終わらせてきますね!社長待ってますよ?」


にやっと笑われて、「はいはい」と軽く返す。パソコンに向き直りながら、小さく息を吐いた。

あの頃の私に言ってあげたい。ちゃんと、大丈夫になるよって。仕事も、恋も、自分の気持ちも、全部ちゃんと選べる日が来るよって。


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