10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



その後も電話とメールが止まらず、海外担当者とのやり取りは延々と続いた。


原因は、相手先銀行側のシステム更新による一時的な未反映だったと判明したが、その確認作業には通常よりも時間がかかる。


私はパソコンの前でひたすら資料を見返し、送金記録と契約書の条項を何度も照合した。

部長もフロアを行き来しながら指示を出す。

外部のトラブルに巻き込まれているはずなのに、社内の緊張感も一層増していく。



ついに、海外担当者から「入金確認完了」のメールが届いた瞬間、経理部の誰もがほっと息を吐く。

肩の力が一気に抜け、画面の数字がやっと落ち着いたように見えた。


しかしその安堵もつかの間、社長が静かに近づいてきた。

息を整え、資料をまとめる手がわずかに震えていることを自覚しながら、私は彼を見上げた。


「白石、状況報告を」


低く、しかし圧倒的な存在感を持った声。私は手短に状況を説明する。


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