10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



特別綺麗なわけでもないし、愛嬌があるわけでもない。誰かに強く印象を残すようなタイプでもなくて、良くも悪くも「普通」。学生時代からずっとそうやって生きてきた。


そんな私が今、唯一胸を張れるものがあるとすれば、それは仕事くらいだと思う。


単純にコツコツと積み重ねてきたものを評価されて、気づけば経理部の主任を任されて3年目。


28歳で主任、なんて言えば聞こえはいいけど、実際はただ必死にしがみついているだけで、余裕なんてどこにもない。


ミスをしないように、誰かに迷惑をかけないように、ただそれだけを考えて毎日を過ごしている。


だからこそ、年度末の今日も、私はこうしてオフィスに残っている。




時計の針はもうすぐ23時を指そうとしているのに、デスクの上には処理した書類がいくつも積み上がっていて、帰ろうと思えば帰れるのに、どうしても立ち上がれない。



「本当にやり残したこと、ないよね…?」



そんな不安が頭から離れなくて、同じ数字を何度も見返してしまう。


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