10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
新年度の4月は、年度末の3月と同じくらいにオフィスがバタバタしている。
今日もお昼のお弁当を食べそびれてしまった。
家に帰っても、もう弁当を作る余裕なんてなくて、最近は社食や外食に頼りっぱなしだ。
美織ちゃんに「ランチ行きましょうよ~」と誘われたけれど、同僚とゆっくりランチを楽しむ余裕なんて、私には微塵もなかった。
心の中では「私も一緒に行きたいのに~!」と思いながら、仕方なく泣く泣く我慢する。
部長から次々と仕事を回され、新人の美織ちゃんにはまだ教えないといけないことも山積みで、目の前のパソコン画面は数字や書類で埋め尽くされていく。
ちら、と壁にかけてある時計を見ると、もう22時。
新人の子に、この仕事はいやだなんて思ってほしくない。
だから今日も今日とて、ひとり寂しくオフィスに残り、疲れた体を椅子に預けながらも、黙々と手を動かすのだった。
コーヒーを入れようか、と給湯室のほうを見るけれど、立ち上がる気力もなく、ただ画面の数字だけが、かすかな光となって目に映る。