10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「なにしてんだよ、早く冷やせ」


社長の声は焦ったようで、でも力強い。

そのまま手を引かれ、くるっと体を後ろに向けると、社長が蛇口を捻って冷たい水を出している。

私の手はまだ社長に握られたままで、冷たい水に触れながらも、指先の形や長さが目に入ってしまう。

スラっと伸びた指先をじっと見つめる自分がいて、どうしようもなく意識してしまう。


「白石?大丈夫か?」


その声に、慌てて「えっ…あっ、はい!」と返事を返す。

顔を上げると、思ったより社長との距離近くて、またぐらつく。

しっかりしなきゃ、と自分に言い聞かせても、手を握る温もり、指先の感触、そして顔も体もすぐそばにあることで、心臓がうるさく騒ぎ立てる。


「すみません、社長の手まで濡らしてしまって…もう、大丈夫なので…」

「そうか?」


だって、これ以上は私が耐えられない。

私の手を優しく握る社長の綺麗な指先もそうだし、なにより顔も体も近くにいて、心臓がうるさい。


私なんて簡単に抱きしめられそうな大きさだな…って、また、なにを考えてるの!


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